退位の意向を木戸にもらす

天皇「戦争責任者を連合国に引き渡すは真に苦痛にして忍び難きことなるが、自分が一人引き受けて退位でもして納める訳にはいかないだろうか」
木戸「連合国の現在の心構より察するに、中々その位のことにては承知致さざるべく、かつまた外国の考え方は我が国とは必ずしも同じからず。御退位を仰出さるるというが如きは、あるいは皇室の基礎に動揺を来したるが如くに考え、その結果、民主的国家組織(共和制)等の論を呼起こすのおそれもあり。これは充分に慎重に相手方の出方も見て御考究遊ばさるる要あるべし」

高橋紘『陛下、お尋ね申し上げます』(69p)
(原典は『木戸幸一日記』)

4167472015陛下、お尋ね申し上げます―記者会見全記録と人間天皇の軌跡
高橋 紘
文藝春秋 1988-03

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