初めて天皇と会見した米記者の印象

ニューヨーク・タイムズ』太平洋方面支局長フランク・クルックホーン記者による天皇の印象

「私は戦後天皇に会う最初の米人であり、外国人だった。天皇はその縁なし眼鏡を通してじっと私の顔を直視した。彼の顔には、戦争のヤツレが見えた。顔色はいいが、態度は神経質であり、彼の手はかすかに震えていた」

天皇の手は堅くこわばって体の両側にあった。…この小男が、すっかり神経質になって私の前で体を揺らしているこの男が、前日本人の死命を握っているのだ、と思うと、何か特別な感情が私の中にわくのだった」

週刊新潮編集部編「天皇と会見した米記者」((鶴見俊輔中川六平編『天皇百話』所収(46ー47p))

4480022899天皇百話〈下の巻〉
鶴見 俊輔 中川 六平
筑摩書房 1989-04

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